*『三大栄養素の一つ脂質の摂取量について』の記事で脂質の摂取量はどれくらいか。また、どんな注意点があるかをお話ししました。
次は三大栄養素の一つである炭水化物について厚生労働省がまとめた『日本人の食事摂取基準』を参考にお話しします。
三大栄養素の一つである脂質摂取量の管理で健康な体づくり、その計算方法とは!?
炭水化物の定義
炭水化物は、その細分類(特に、糖類・多糖類の別、多糖類は更にでんぷんと非でんぷん性多糖類の別)によって栄養学的意味は異なります。
生理学的には、ヒトの消化酵素で消化できる易消化性炭水化物と消化できない難消化性炭水化物(食物繊維)に分類でき、さらに食物繊維は非でんぷん性多糖類と言われます。
加えて、炭水化物ではないものの、エネルギーを産生し、かつ、各種生活習慣病との関連が注目されているアルコールがあります。
栄養学的な側面からみた炭水化物の最も重要な役割は、エネルギー源です。炭水化物から摂取するエネルギーのうち、食物繊維に由来する部分はごくわずかで、ほとんど糖質に由来します。
糖質は約4kcal/g のエネルギーを産生し、その栄養学的な主な役割は脳、神経組織、赤血球、腎尿細管、精巣、酸素不足の骨格筋等、通常ぶどう糖(グルコース)しかエネルギー源として利用できない組織にぶどう糖を供給することです。脳は体重の2% 程度の重量ですが、総基礎代謝量の約 20% を消費すると考えられています。
肝臓は必要に応じて筋肉から放出された乳酸やアミノ酸、脂肪組織から放出されたグリセロールを利用して糖新生を行い、血中にぶどう糖を供給する役割があります。なので、人間の体は炭水化物供給が少なくなったとしても補う機能が備わっています。
炭水化物の食事摂取量
炭水化物、特に糖質はエネルギー源として重要な役割を担っていますが、肝臓から作られる糖もある為、必要摂取量は明らかでありません。さらに、炭水化物が直接に特定の健康障害の原因となるのは2型糖尿病のみなので、耐容上限量は設定されませんでした。
しかし、炭水化物はエネルギー源として重要であるため、この観点から指標を算定する必要があり、アルコールを含む合計量として、たんぱく質及び脂質の残余として目標量(範囲)を算定しています。
炭水化物の摂取量については上限はありませんが、炭水化物の多い食事はその質への配慮を欠くと、精製度の高い穀類(白米)や甘味料(砂糖など)や甘味飲料(コーラなど)、酒類(日本酒やチューハイなど)に過度に頼る食事になる可能性があり、好ましくありません。
このような食事は数多くのビタミン類やミネラル類の摂取不足が考えられ、たんぱく質の目標量の下の値(13~15% エネルギー)と脂質の目標量の下の値(20% エネルギー)に対応する炭水化物の目標量は 67~65% エネルギーとなります。
したがって、たんぱく質、脂質、炭水化物のそれぞれの目標量の下の値の合計は 100% エネルギーにはならない点に注意して用いる必要があります。
ヒトはその 20 種のうち、11 種を他のアミノ酸又は代謝物から合成することができます。それ以外の9種は食事から直接に摂取しなければならず、それらを不可欠アミノ酸(必須アミノ酸)と呼びます。不可欠アミノ酸はヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、トレオニン、トリプトファン、バリンです。また、不足しがちなビタミンが摂れるのも嬉しいですよね。
参考 ディアナチュラHPアサヒのサプリより
食物繊維摂取による健康の保持及び増進
食物繊維摂取量と主な生活習慣病の発症率又は死亡率との関連を検討した疫学研究のほとんどが疾病のリスクを下げるとありますが、明確な摂取量はありません。
ただし、成人の理想的な摂取量は24g/日以上または14g/1000kcal以上としています。
これは食物繊維が各種疾患及びその体に及ぼす効果を検証した研究では、体重、血中総コレステロール、LDL コレステロール、トリグリセライド、収縮期血圧、空腹時血糖で有意な改善が認められています。
また、こうした結果は糖尿病患者を対象としたHbA1c の改善を指標とした研究でも同様であったことから、こうした指標の改善が関連する各種生活習慣病の重症化予防においては、食物繊維の積極的摂取が推奨されています。
どの程度の食物繊維摂取量を勧めるかについてはまだ十分な結論は得られていないものの、観察研究も含めて25〜29g/日の摂取量で最も顕著な効果が観察されたと報告されています。
下記の基準は全国平均の摂取量を参考に、達成しやすい摂取量として設定されています。
寒天は天草やオゴノリなどの海藻を煮て、その粘液を凍らせた後に乾燥させたもの。このスープ用糸寒天は水戻し不要なので、お味噌汁などにそのまま入れることで簡単に水溶性の食物繊維を1.6g(糸寒天一つまみあたり2g)摂ることが出来ます。またほぼノンカロリーの為、カロリーを気にせず何にでも入れることが出来ます。この食物繊維は水溶性と不溶性があり、生活習慣予防に特に発揮するのが水溶性とされている点もポイントとなります。
例えば、年齢29歳で体重が60㎏、身長171㎝、身体活動レベルがふつう(Ⅱ)とすると・・・
基礎代謝量が1422kcal/日なので・・・
推定エネルギー必要量(kcal/日) = 1422(kcal/日) × 1.75
= 2488.5kcal/日
ここから炭水化物の摂取基準である50%~65%のエネルギーを求めますと・・・
50%の炭水化物量=2488.5kcal × 0.5 = 1244.3kcal ÷ 4kcal = 311.1g/日
65%の炭水化物量=2488.5kcal × 0.65 = 1617.5kcal ÷ 4kcal = 404.4g/日
※糖質をカロリーに換算すると4kcalとなります。
まとめ
- 炭水化物の摂取量の上限はありませんが、目標値で管理しましょう。
- 炭水化物の摂取は精製度の高い穀類(白米)や甘味料(砂糖など)や甘味飲料(コーラなど)、酒類(日本酒やチューハイなど)は控え、玄米など積極的に切り替えると食事の質が向上します。
- 食事の質を補うためにサプリなどでビタミンを補給しましょう。気休めかも知れませんが・・・。
- この記事で三大栄養素の一つである炭水化物の必要量が分かったので計算出来るようになりました。次は筋肉トレーニングの重要性を紹介したいと思います。
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